Category: よりぐち


アジャイル的舞台美術製作

舞台美術担当よりぐちです。
だいぶ間が空いてしまいましたが、『弔EXPO’19』ご来場いただきありがとうございました。

今見返したらプロフィールにほとんど何も書かれていなかったので、簡単ですが自己紹介させてください。
大学の演劇サークルで舞台美術担当してたのがきっかけで、現在まで色々な団体のお手伝いをさせていただいてます。
2年ちょい前くらいに、とある団体の美術補佐やっていたときに、舞台監督として入っていたヒガシから、今度公演やるから美術作ってくれない?と誘われ、
二つ返事でOKしたらそれがgekidanUの『弔EXPO’17』だった、という感じです。その後ちゃんと入団し、毎年ベランダから降りる(もしくは登る)非正規ルートを作っています。

それで本題なんですが、今回は、裏話的なところとして、↓ができた経緯や、gekidanUで美術を作る際の特殊な部分などをざっくばらんに書いていければなと思います。


■螺旋階段ができた経緯について
今回螺旋階段になったきっかけは完全にふとした思いつきでした。
「螺旋階段って作れるのかな・・・?」と思い、ふとググってみたら、案の定作っている人がおり、写真見たら作れそうだったので提案したという次第です。
当然、作れるから、という理由だけではなく、「螺旋階段」とした意図としては他にも以下のようなことを考えておりました。
1.使い方の選択肢が広がりそう
2.奥行きのある動きを出しやすそう
3.ランドスケープとしてインパクトが大きそう
これらがどれほど達成できたかは定量的な観測は難しいのですが、少なくとも2と3に関しては多少なりとも手応えを感じています。
2.については、螺旋の動きにより、ただの登り降りではない、魅せる登り降りになったシーンもちょくちょくあったかなと思います。
3.については、作っている間に近所のお爺さんに声をかけられたりといったこともあったので、まぁインパクトはあったのかなと・・・。
1.については、本来は、使い方を定めてから舞台装置は作るべきではあるのですが、これは、複数団体の参加・やや舞台先行で進める弔EXPOの作り方という2つの要素があったため、重要視していました。
勢いだけではなく、そんな意図もあったのです。

ちなみに、今回の螺旋階段は、真の螺旋階段と言えるか?というとそうではないと考えてます。
実は270°程度(3/4周)くらいまでしか階段を作っておらず、360°以上は螺旋を描いていません。
今後どこかでリベンジしたいものです。

■gekidanUでの舞台美術作りについて
上記のように、ふとした思いつきから動いていく節がgekidanUにはありますが、
他の団体で舞台美術を作らせていただくときとは全く違う考え方で舞台美術を作っています。

通常、舞台美術を作る場合は、以下のプロセスで作ることとなります。
1.演出家から実現したい舞台美術の要望を聞く
2.プラン図を描き、演出家とすり合わせを行う
3.各パーツの設計・平面図等資料作成を行う
4.材料調達を行う
5.パーツを製作する
6.仮組み
7.仕込み
上記の形となる一因としては、小劇場では、劇場を借りて公演を行うのが一般的だから、というところがあります。
仕込みの時間が限られているが故、また、仕込み後の大幅な手直しが(様々な条件で)許されない故にそのような形となっているのではないでしょうか。

ただ、gekidanUでは劇場が自前であるため、以下のようなプロセスで作ることも可能なんです。
1.演出家から実現したい舞台美術の要望を聞く
2.とりあえず作りながら演出家とすり合わせを行う
3.すり合わせ結果に応じて都度修正を入れる(作り直し含む)
4.2と3を繰り返して完成度を上げていく

このように見てみると、IT業界でのシステムの作り方と舞台美術の作り方は非常に似ていたりもします(普段はSEなのでそんな考えに至っています・・・)。
前者の「要望すり合わせ〜設計〜製作〜(テスト)〜完成」みたいなやり方は「ウォーターフォール型」と呼ばれるシステム開発のやり方と酷似していますし
後者の「作りながら修正を加え完成度を上げていく」みたいなやり方は「アジャイル型」と呼ばれるシステム開発のやり方と似ています。

どちらがよいか、というのは一概に言えないのですが、gekidanUのスタイルでは、「アジャイル的」な舞台美術製作の方がメリットが大きいです。
アジャイル的舞台美術製作のメリットとしては、
・「思ってたのと違う」を潰し、イメージにより近いものを作れる
・「とりあえずやってみる」ことが可能であるため、フットワーク軽く、ちょっとしたアイデアから広げていくことが可能
・演者さんに早い段階から舞台装置に慣れてもらえる
といったことがあるのかな、と思います。


あまりまとまりがないのですが、こんな感じのことを考えながら『弔EXPO’19』の舞台美術は作っていました。
今後もこういった方針でどんどん作れればと思っておりますので、また観に来ていただけますと幸いです。