Category: 電気マグロ


こんばんは。

年末なのですが仕事がおさまった感じが全然しません。電気マグロです。

 

今年のgekidanUについて振り返るにあたり、電気マグロ的に最も分かりやすい例として、家劇場の照明設備改修状況を追っていきたいと思います。 
 
 
 

【~4月初頭:改修初期】 
atlier5256_shibakuma1

この場所に「アトリエ5-25-6」と名付ける前か、名付けたばかりの頃です。 
 
2018年の弔EXPOで屋内公演として上演した『火曜日の夜、水曜日の朝、サテライト』から、「芝熊」さんの『うかうかと終焉』という公演に使っていただいた頃まで。 
上の写真は芝熊さんの公演で、壁の落書きは舞台美術の一部です(古い学生寮という設定のため)。 
 
この時期の照明設備的にはほぼ元の家のままで、屋内については既設のダウンライトをそのまま使用。 
 
さすがにダウンライトのみでは顔が暗いので、下の写真のような首振りの延長ソケット+ビーム電球を使って、辛うじて前明かりを作るような状況でした。 
E26_kubifuri

調光についても、LED灯体などはもちろんDMX調光卓で操作ですが、ダウンライトは家に元々ある設備のため、元々付いている壁の調光スイッチでの操作を想定していました。 
atlier5256_lucon1

結局、これではあまりに操作しづらいということで、急きょ仮組みの電気工事をして、DMX調光ユニット(DP-415)で調光できるようにすることとなりまして、「ダウンライトを舞台照明用の外部調光器で簡単に操作できないのか?」という点は、以後の課題となりました。 
 
 
 

【4月下旬:『金星』】 
次に、gekidanU 家公演企画vol.3『金星』 に向けて多少照明設備の増強を図りました。 
 
まず、スイッチが変な位置にあって使いづらかった壁際の小型ダウンライト2発を、スポットベースに改造。 
PAR16の灯体を常設としました。 
atlier5256_spotbase1 
 
 
次に、ダウンライトのうち1発を、首振りのできる「ユニバーサルダウンライト」に入れ替え。フロアの中心の1発のみ交換しました。 
 
今までこのダウンライトの下がちょうど客席と演技エリアの境目に来てしまい、客席が半分明るくなってしまっていたのですが、首振りができることで演技エリアの方向に少し寄せた明かりを作ることができ、舞台照明としての精度が向上したと言えます。 
atlier5256_universal 
 
 
そして、問題となったダウンライトの調光。 
 
今後演劇公演の際は舞台照明用の調光ユニットで行うことが明らかなため、「元々の壁スイッチで操作する」のか、「外部調光卓/調光ユニットで操作する」のかを簡単に切替えできるような改修を施しました。 
 
下の写真に3極プラグの見慣れないコンセントがありますが、これで壁スイッチ⇔外部調光器の強電的な切替えを行えるようにしたのです。 
atlier5256_DLjack 
 
 
下のgifアニメでは、家のシャンデリアをPC卓で調光できていることが分かると思います。 
 
 
しかし、色々改修を行った一方、前明かりを作るための照明バトンは未完成。 
 
公演2週間前になって、カーテンレールのあった場所に仮設でバトンを設置しましたが、その程度が限界でした。 
 
バトンもあり合わせのもので、長さも足りず不自由なバトンでした。 
この公演の手記で前明かりの作り方に言及していますが、設備的には不完全だったのです。

 
 
 
【10月:プロデュース公演】 
gekidanU初のプロデュース公演となった、くちびるに硫酸#3 『あの星にとどかない』。 
 
この公演では、脚本・演出の性質上、「家だけど、ちゃんと舞台照明」を成立させることが必要でした。 
 
よって、ここまでに挙げた設備改修の成果をフルに活かすこととなりました。 
 
さらに、客席の向きの関係上、『金星』の時に仮設したバトンとは異なる場所に前明かりを設置する必要がありました。 
 
ならばいっそ、というわけで、2ヶ所あったカーテンレールボックスに、ライティングレール(ダクトレール)を常設することとしました。

atlier5256_ductrail 
2ヶ所のうち1か所は、上の写真の位置で新規設置。こちらが今公演のシーリングバトンになりました。 
 
もう1か所は、『金星』の時に仮設したバトンを撤去して敷設。今公演ではフロントサイド的な位置のバトンとして機能しました。 
 
これで一応、照明設備的には幅広い需要を満たせるようになったと思います。 
 
先週の忘年会では、30分程度の仕込み時間でパーティーらしい照明を作ることができ、この設備の汎用性がある程度出てきたかな、と思います。 
atlier5256_party 
(撮影:ヒガシナオキ) 
 
 

 
【まだまだ続く設備改修】 
ここまでで「色々やってるなあ」と思われたかもしれませんが、実はまだやることは残っています。 
 
目に見える分かりやすい改修だけではなく、使いやすさのためのコンセント増設、エアコンとの電気系統分離、ダウンライト1発1発の個別調光、などなど細かいものを含めればまだまだやりたいことは多く残っています。 
 
それから、今は2階のリビングが「家劇場」のメインですが、今後は1階や3階も公演場所として使うかもしれません。 
 
そうなれば、階間をまたぐ制御信号の伝送、ライブカメラの整備など、また違った方向性のニーズが発生することもあるでしょう。 
 
来年も謎の進化を遂げる家劇場にご期待(?)ください。

家公演の舞台照明

こんにちは。照明の電気マグロと申します。
 
gekidanU 家公演企画Vol.3『金星』が終わりました。ご来場頂いた方、誠にありがとうございました。
 
 
あ、劇団ブログへの投稿は初めてなので、簡単に自己紹介をします。
 

電気マグロです。メンバープロフィールに書いているとおり、非劇場空間でのライティングを得意としています。

ブログ「照明機材の盛り合わせ」の筆者です。
 
大学時代に京都で演劇サークルの照明をやっていたら色々な団体に照明で呼んでもらえるようになり、就職してからも照明はライフワークにするぞと思っていました。そうしたら舞台美術のよりぐちの紹介で昨年の「弔EXPO’18」の照明をさせて頂くこととなり、そのまま流れで団員になってしまった次第です。
 
ずっと本名で活動していて、別に会社バレとかは問題ないので芸名(?)でやる必要もないのですが、上記のブログやtwitterをそれなりに読んでもらっているので、ネット上での宣伝をしやすくしたいなと思い、東京に来てからはこの名義で活動しています。
 
 
 
 
さて、本題です。記事タイトルのことです。
 
 
けっこう今回、照明に関して「こんなの家じゃないな(笑)」と冗談めかして言われることがありました。
果たしてそれは、100%「良い」と言えるものなのか?という自問自答です。
 
 
 
確かに今回、家公演にしては照明を本格的に作りました。特に、

・作中でキーとなる「タイムマシン」が起動され、飛び立つまでの一連の照明効果

・終盤に作中の「金星」の象徴である雨が降ってくるシーン以後の照明効果

の2点に関しては、明らかに「演出照明らしいこと」をやっているので、見ていた方にもすぐわかったと思います。

 

 
 

この部分については想定通りで、当初より演出のヒガシからも「こういうシーンの“けれん味”を出すために照明を使ってくれ」というオーダーがあったので、仕込み図面の段階から「ベランダ」部分の灯体密度がかなり濃くなっています。

kinsei_tsuri_blog
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よって、ここがド派手な「いかにも舞台演出照明!」になるのは全く問題ありません。
 
 
問題は、家の内側の部分。物語のほとんどの時間が過ごされる、リビングの照明です。
 
実は今回、35ページある台本のうち、3ページ~24ページまでは照明変化がありません。「家のリビングの明かり」が約1時間に渡って継続されます。
 
 
個人的な信条として、演劇照明の主な役割のひとつが「日常性⇔非日常性のコントロール」だと思っているので、このシーンについては「日常に全振り」で作るべき、のはずです。
 
しかし実際には、このシーンの照明についても「舞台っぽいね」という評を、直接ではないにせよ、ちらほら頂いたような気がします。
 
これが想定外でした。プランナーとしては「日常全振り」で作ったつもりなのですが、少し「非日常」の下駄が履かされていたようです。
 
 
 
…理由は多分、これ。

シーリング

上のシミュレーション画像で光っている方向からの明かりです。劇場で言う「前明かり」に相当する明かり。
 
 
この明かりが無いと真上からの明かりだけになってしまい、役者の表情がよく見えないという致命的な欠点があります。
 
 
よって、演劇の照明では必ず使われる明かりです。当然今回も、日常のシーン全般にわたって、前明かりを70%程度の明るさで点灯していました。
 
 
ところがどうも、これが「非日常」の成分を持っていて、本来「家なのに舞台照明してるね~」と言われる想定をしていなかった、日常のシーンまでが「舞台照明してる」になってしまった可能性が否めません。
 
…まあ、一般家庭の生活用の明かりとしては存在しない方向の明かりですから、当然と言えば当然です。
 
しかし、(舞台照明を見慣れた)自分が思っているよりも、この明かりの非日常成分は強かったのかもしれません。
 
 
…そういうわけで、好評を頂いた「あちら側」(ベランダ側) の照明とは全然違うところで、勝手に思うところのあった公演でした。(笑)
 
 
 
 
アフタートークでお呼びした「裃-這々」さんは、家公演と言っても全く照明などを使用しない、素の家を使うそうです。
 
多少の照明効果を差し置いても、そっちの方がいい場合もあるのかもしれないな……