手記


こんにちは。ヒガシナオキです。

 

雪すごいっすね。昼前まで爆睡してカーテンを開けた時の「ぞわっ」って感じ、おおってなりました。

 

例にもれずしっかりと外出自粛してる(夜は少しだけ近所の商店街の経済を回している)ので、

この前の振り返りと今のこの状況に対してのこと及び、開催発表した弔EXPO20についてつらつらと書いていこうかと思います。

 

●はじめに

 

えー改めまして、アトリエ5−25−6Produce Vol.2 犬小屋計画「一人夜明けにパンを焼く」

ご来場いただけた方々、気にかけていただいた皆様、ありがとうございました。

 

 

 

3月上旬のコロナウイルスに対する政府の会見以降、

演劇に限らずたくさんのパフォーマンスアートが発表の場を失わざるを得ない形となりました。

 

我々は上記のタイミングで声明及び対策発表の上、実施をさせていただきましたが、

これが1週間後にズレていたらどうなっていたかな、自分たちで運営し、

換気等対策が完全に行える環境の我々でも、開催判断は難しかったのかなと思っています。

 

実際、今週は別の現場の舞台監督として入らせていただく予定でしたが、中止となりました。

開催できていればその団体さんの旗揚げ公演でした。

 

この状況の中でもVol.1を大きく越える数ご来場いただけたお客様に感謝申し上げるとともに、

この期間に判断を迫られた主催団体の皆さんに心から敬意を表させていただきます。

 

僕らはいろんな意味で「貧しい国」にいる、ということがはっきりわかる日々が続いていますが、

その時々に感じたことを大事にして、今後より善く生きることにつなげていきたいなぁと思います。

 

 

「一人夜明けにパンを焼く」芝居作り、演出面の話

 

ここからは「一人夜明けにパンを焼く」を主に演出面からいかに作ったか、どんなことを考えたか、

という話をしようと思います。

 

稽古序盤に下記で今回のベースになる犬小屋計画さんとの関係性とか、僕の立ち位置とか、

そういうのはここに書いてあるので参照いただければと思いますが、

今回は「漫画原作のモノを芝居にして立ち上げる」際に、

あの独特の空間でどのように考え、組み上げていったかを記します。

 

まず、今回の「一人夜明けにパンを焼く」というお話、原作の漫画では、

一人の青年「ニシ」と親友「カズ」のやり取りが軸になり、

こちらも母である「ヒカリ」も加えた「ニシ」に見えている日常の光景が、

全て病気による妄想だった、というラストになります。

 

主題は病気というより、「ニシ」が生み出した「カズ」との関係性にフォーカスされていて(作者のサンいぬさんの言う「クソデカ感情」)、

その中で時折保健師である「真崎」により客観的なアセスメント結果として現実が伝えられるような形になっています。

 

これを芝居にする、というときに、

凄く簡潔に言うと「コレ一つ間違えるとクッソつまんなくなるな」という危機感がありました。

もう少し説明すると、「原作を尊重する」を履き違えると逆に原作を汚してしまうな、というのを強く感じました。

 

という感じで、漫画⇒芝居にするときに、たくさん考えなければいけない部分はあったのですが、

特にまず考えたところは「視点」の違いです。

 

漫画では基本的に「ニシ」の一人称の視点で話が進み、

終盤になってタネ明かしのような形で「真崎」が「ニシ」の病状を職場に報告しているところや、

「ニシ」がだれもいない部屋で楽しそうに会話しながら一人でパンを食べているところが、

初めて三人称の視点で描かれることによって「カズ」と「ヒカリ」はいなかった、となることで物語が成立しています。

 

漫画における読者の視点は基本的には「ニシの一人称で見えている光景を同じように体験している」形になりますが、

言わずもがな、演劇では観客は常に定点で出来事を追うことになるので、これを行うことは不可能です。

 

これを無視して「全てはニシの妄想でした」というラストにしても、

そんなことはとっくにわかるでしょうし、「で?」となることは明白でした。

 

であるとすると、客の「視点」がどういう存在かとはっきり定義するかが何よりも大事で、

脚本の遠藤が最初台本に仕上げてきたときに、漫画の設定とセリフを大事にしすぎて、

この辺りをあまり考慮できていなかったことで凄い辛辣にダメ出しをした結果、一時期めっちゃ険悪になりましたw

 

また、その「視点」から視えるべき光景、という観点で美術も考えていきました。

 

 画像  

 

これが実際の舞台写真になるのですが、

キッチン/テーブル回り及び、上手のガラス張りのはしごの部分(元々ベランダの部分にパネルを立て、3階の窓にハシゴと台でつないだ空間)、その手前の積み重なった本と机の部分は、ある程度常識的というか、生活の営みが感じられる空間になっています。

対照的に下手手前の雑然とした棚及びボロッボロの布がかかっている奥の半開きの部屋は、局所的に全く違う雰囲気をもたらしてます。

 

簡単に分けると

キッチン/テーブル/上手が、「ニシに見えている光景」

下手部分が「第三者から見えている光景」

になります。

 

今回の観客の視点に名をつけるとすると、「万能な覗き穴」でした。

 

前述の通り、芝居の観客は、

「ニシの一人称で見えている光景を同じように体験する」ことは不可能ですが、

ストーリー上は漫画同様「ニシ」から見えている景色をベースに話が進み、

「ニシに見えている光景」=キッチン/テーブル/上手を中心に展開していきます。

なので観客の視点は「ニシに見えている光景をリビングの隅の別視点から覗いている」という状態になります。

少し説明が足りないかもしれないですが、母「ヒカリ」役にとても若い日野さんをキャスティングしたのはここに理由があります。

 ニシの妄想には一番女性として魅力的だったと感じていた時期の母親が登場しているはずなので。

 

一方で、現実の存在である「真崎」とのやりとりだったり、

「ニシ」が玄関に降りたり母と話に3Fに行ったりして際に2Fから離れているとき=客から観えなくなっているとき、

ラストの一人でパンを焼いて暗闇に楽しげに話しているシーンは、

「ニシに見えている光景」の中だけでは回収できない部分です。

 

その時に観客の視点は「リビングの隅から実際に見えているものを覗いている」状態になります。

下手部分=「第三者から見えている光景」を少し表象的/オブジェ的に立ち上げておくことで、

この覗き穴の「覗き方」変更を誘導する意味がありました。

 

普段はあまりこういうこと考えないので、いつものgekidanU作品と比べて難解さが生まれたかもしれません。

この上で、更に演劇版では「ニシから見えている光景」が「単純な過去の回想」と「現在の妄想」に何度も分岐するので、

そこは照明の変化に頼りました。ここはまた別途照明電気マグロが解説すると思うので詳しくは触れませんが、

なのでいつもより「舞台っぽい照明」をがっつりやってもらった形になりました。

 

役者としての「一人夜明けにパンを焼く」

 

前項がバカみたいに長くなってしまった

偉そうに色々解説してしまいましたが、

今回は主演だったので厳密には演出という形では入っておらず、

けっこう直前まで自分の役にあくせくしておりました。

 

何本もあのリビングで芝居はしてきたのですが、

だいたい舞監とか演出兼ねてるので、

すっごい重要な役とかながーく出てる役ってそんなになかったので、

今回70分中67分出てるような主役って全然やったこと無くて、なんだか新感覚でした。

 

また、役柄に関しても、ホント自分のパーソナルな部分と180度とは言わずとも165度くらいは違うんじゃないか、

みたいな形で、また「心の病気」という状態を具体的に所作に落とし込んでいく必要もあり、

試行錯誤感が非常に強かったですが、結果的に凄く自分の中で手応えのある芝居になったのではないかなと思っています。

 

特にやっていて感じのは、

「人とうまくコミュニケーションが取れない」状態をお芝居でするためには、

相手の役者とすっごくコミュニケーションをとらなければならないんだな、ということで、

綺麗に虚を積み重ねることで表現したい実が生まれるんだな、ということを凄く思いました。

 

役者楽しいな、もっと色々とやりたいな、と改めて思えた貴重な機会でした。

が、gekidanUでは基本あんまり役者はやらないので、

どなたか是非僕を使ってやってくださいませんか。けっこう使い勝手良いです。よろしくお願いいたします。

こんなに深い行数で言ってもしょうがないな

 

今後の話

 

ProduceVol.2の終演とともに、「弔EXPO20」の初回情報公開をいたしました。

ぼちぼち出演者全員発表できるかと思います。

 

 

ここ数年何団体かさんと演劇フェス、って感じでやってきましたが、

今回はgekidanUのみでの野外本公演を予定しています。

 

理由としては、「ちょっと一回このタイミングで力試しをしようじゃないか」

という一言にまとまります。

 

ありがたいことにこの2年ほどでかなりgekidanU、飛躍した感があります。

劇団員も遠藤と僕の2人時代から随分増え、やれることも増え、

関わってくれる人も増え、お客さんも増え、という形で、大変ありがたい気持ちです。

その中でも看板になっていた「弔EXPO」、昨年は549名という驚きの規模になり、

ここで一回単独公演をやってみて現在地を測ろうじゃないか、と思っています。

 

上記以外にも、オリンピックと丸かぶりだからちょっと複数団体開催はリスキーかも

という現実的なアレもあったのですが、まさか無くなるとは

毎年「7月最終週~81週目」でやってるので、来年も同じ時期だと結果またかぶるんですが

 

単独公演になって具体的に変わるところで言うと、

舞台の組み方に自由度が一気にでます。近年は共通のセットを3団体で使いまわしていたのですが、

それを自分たちがやりたいようにできるので、やれることの幅は広がります。

 

既にかなり色々案はでているので、楽しみにしていただければと思います。

 

公演以外ですと、アトリエの貸し出し、ProduceVol.3の募集なども引き続き行っています。

 

社会性に溢れた人間しかいないので、ぜひぜひ、お気軽にご連絡くださいませ!

 

ではでは、みなさまくれぐれもご自愛の上、また元気にお会いできますことを!

 

年末に5人全員書いて!ってなって、それきりという体たらくでございます。

すみません、2020年一発目でございます。ヒガシナオキです。

 

1月6日に諸々情報公開をしたのですが、

現状、

3月19日〜22日 アトリエ5-25-6 Produce Vol.2開催

7月末(おそらくオリンピック開会式と初日がかぶる) 弔EXPO'20

12月頭 gekidanUアトリエ5-25-6本公演

という感じでまずは予定しており、お誘いやご相談があれば随時対応していく所存でございます。

 

また、僕が客演したり、

我々が活動拠点としている場所「アトリエ5-25-6」の貸し出しをきちんと始めたりと、

つい昨日CTOよりぐちがHPを常時SSL化(ホームページをgoogleさんに認めて貰える社会性ある状態にするヤツ)したり、

けっこうトピックがあったのですが、年始めは皆生業も忙しく、発信不足で反省です。

 

アトリエの貸し出し始動は団体としての悲願だったので嬉しいし、

是非お気軽にお声がけをって感じでございますし、これも話したいことたくさんありますが、

今日は稽古がついに始まったProduce Vol.2の話をしようと思います。

 

Vol.1をやったのが昨年の11月でしたので、かなりの短いスパンでの実施になりありがたい限りです。

前回はこんな感じで、京都発のユニット「くちびるに硫酸」さんにかわいく使ってもらいました。

 

 

 

昨年は劇作家協会新人賞を取った芝熊さんの「うかうかと終焉」の再演に利用してもらうなどもありましたが、

やり慣れた場所を他の団体に使ってもらう、という経験は本当に勉強になります。

 

さて、ほぼスタッフワークに終始していた前回に比べて、今回のVol.2は「演出補佐」としてgekidanUをクレジットし、

脚本に主宰の遠藤、主演を僕、スタッフはほぼgekidanUという形で公演を行うので、がっつり入ります。

ご要望に応じて、「どの程度Produceするか」を都度調整できるところをこの企画の良さにしていければと思っていますが、

そういう意味で言うと今回はフルコミットになります。

 

今回ご一緒するのは演劇公演が初めての経験になる同人サークル「犬小屋計画」さんです。

原作となるマンガを描き、演出も担う「サンいぬ」さんは僕がgekidanUに入って最初の公演(もはや伝説となっている4年前の真冬の野外劇)

からずっと我々を観てくださっている方で、「演劇をやる側をやってみたい、やるならずっと観てるgekidanUと」という嬉しいご相談を、

ちょうどProduce企画を考えている時にいただいたことで実現をしました。

誰かの「やってみたい」を形にするという意味で、この企画の主旨そのままだな最高だなぁと思っています。

 

ただ、この話が立ち上がるにつれて、実は僕の中にちょっとどうしようかなこの気持ち、というの当初はあって、

それはサンいぬさんと僕の関係性なのですが、

サンいぬさんは上記のgekidanUの公演の前、廻天百眼に客演した時に観ていただいて、

そこからずっと応援をいただいています。いわゆる「推されている」状態ですね。

結婚も喜んでもらい、マジで孫をかわいがるみたいな感覚で応援してくれてます。

 

なので要は「自分で原作を書く芝居で推しに主役やらせる」公演になるわけです。

それはもう構図としてすごいなんか気持ちがいいなという気持ちと、そんな重荷ある?という気持ちとが駆け巡りましたが、

何より思ったのは「創作にあたって、今までの関係性とまるで違う接し方になるんだなぁ」という不安というか違和感でした。

 

当然ですが、僕自身は今までサンいぬさんと接してきた時と、稽古場なりその前後の時ではまるで様子が違うと思っているし、

それより「推している人を前にしている人」として稽古場にいてもらってしまうと困るな、他に役者もいるし、

みたいなことを失礼ながら少し考えていて、

「マジで一人のファンを無くすつもりでやろう」と勝手に肝に銘じたりなど、昨年内くらいは考えていました。

 

しかし現状、完全にそれが杞憂であったことがわかっています。

「良い作品」に向けて、同じ方向を向いて他の役者さんとともに対等な目線で創作を続けています。

芝居に対して何を良いと思うか、などのある程度の共通言語があるのでやりやすいし、楽しいです。

なんとなくこれが終わっても何も変わらず推し続けてくれるだろうな、と思っています。不思議な言い回しだなこれ。

役者さん3名、鬼塚貴彬さん、日野あかりさん、きだたまきさんも最高でございますね。

本当に南千住で民家で行われる怪しげなオーディションに来てくれてありがとうございました。感謝感謝。

 

あと、何せgekidanUフルコミットなんで、美術や照明プラン含め色々考えております。お楽しみに。

脚本も、初めての経験である原作からの脚本化に遠藤だいぶ苦しんでましたが、

普段のgekidanUとは違う部分や、彼のバックボーンや今置いている状況を反映した内容になっています。

稽古中にチューニングをかけていくのがgekidanUのやり方ですが、今回はそこにサンいぬさんの観客に寄った視点が添えられて、

いつもよりエキサイティングな感じになっています。

 

なので、馴れ合いのオナニーみたいな芝居にはしないことは間違いなく約束できます。

共通の知り合いもいるし、一応ね、宣言です。

 

まだ1ヶ月以上ありますが、2割くらいのお席が埋まっていてありがたい限りです。

ありがとうございます。

物理的に席が作れない会場になりますので、ご検討はお早めにいただけると嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

 

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アトリエ5-25-6Produce vol.2

犬小屋計画 「一人夜明けにパンを焼く」

 

原作・演出;サンいぬ(犬小屋計画)

脚本;遠藤遊(gekidanU)

演出補佐;gekidanU

 

夜は今日も眠れない。

夜勤明けの親友のために、病気がちの母さんのために、

一人夜明けにパンを焼く。

 

カーテンは開けない。

 

朝日を浴びて普通に生きていくことが、

僕には難し過ぎるから。

 

アトリエ5-25-6produce vol.2は、

同名漫画作品をgekidanUの全面バックアップにより舞台化した、

「犬小屋企画」初の演劇公演。

 

出演

ヒガシナオキ(gekidanU)

鬼塚貴彬

日野あかり

きだたまき(ちち不在。)

 

会場:

アトリエ 5-25-6(荒川区南千住5−25−6

 

日時

2020

3月19日(木) 19時〜

3月20日(金祝)  14時〜 19時〜

3月21日(土) 14時〜 19時〜

3月22日(日)  12時〜 17時〜

受付開始/開場は開演の30分前

 

料金

予約・当日共に 2,000

 

予約URL

ご予約はこちらから

 

スタッフ

企画統括 遠藤遊(gekidanU)

舞台監督 ヒガシナオキ(gekidanU)

照明 電気マグロ(gekidanU)

美術 よりぐちりょうた(gekidanU)

音楽/音響 鈴木明日歌(gekidanU)

原作補佐 むーちゃん(犬小屋計画)

制作 しろ。

宣伝美術デザイン サンいぬ(犬小屋計画)

宣伝美術レイアウト あきやまみ

gekidanU主宰遠藤遊でございます。

今年最後の手記。年末のご挨拶でございます。

今年の頭くらいに
親父からダブルレザージャケットを貰いました。
1度も袖を通してないレザーはガッチガチで
20年前くらいの型だから、肩幅も昔使用のゴツゴツ。
細身の僕が着ると、絵に描いた「服に着られている」状態でした。

ググると「レザー ダブル ダサい」
みたいのが検索に出てくるぐらい別にトレンドではないんですが
来年で27になるから、
なんかどうしても着られている感が悔しくて
革が似合う大人になりたくて、憧れがあって
寒くなる前の10月くらいに「このダブル着こなしてやる」と色々調べ始めました。

とにかくまずはガッチガチの革を柔らかくしないと話にならない!
調べてみたけども
やっぱりネットの海にも口うるさいマニアは結構いて
これはダメだ。あれはダメだ。と結局、一体何が正しいのか…。

まぁ色々行き着いて
オイルを購入。
塗りたくってみたけども
まだまだ…
まぁそんなこんなで
タブーと言われている洗濯、乾燥機、中生地を全部切ったり
多分見る人が見たら怒られるやり方で、今年の冬から着始めました。

革は着れば着る程、身体に馴染んで
服が形を覚えていって、更に柔らかくなります。

2019年
劇団として団体として馴染んだ1年でした。
所謂「劇団」「小演劇界」みたいなところからは外れているかもしれませんが、
別に洗濯機で洗ったって、中生地を切ったって、いいじゃんかって思う訳です。
僕らは型破りな事を敢えてやる団体ではありません。
ただ今ある手札で、今1番似合うものを作りたいなと常々思っております。
手札が少々特殊でジョーカーじみたものばかりなので、変な劇団だと思われていますが、
とにかく大切なのは無理をしないこと。5センチ以上の背伸びをしないこと。
「消極的だな」「劇団やる意味ある?」「作品作る意味ある?」そんなことを言われる事もあります。

でも僕らはオーディションに来てくれた役者の時間も体力も交通費も精神も心も削って
大切な人、認めて欲しい人、演劇を反対している家族、口説いている女の人とかに
役者は高いお金を払ってもらって、そして見せる。
それが演劇の普通で、プレッシャーとか結構エグいし、大切な人にどう思われたって誰のせいにも出来ない。
遠い場所に足を運んで、不確定なものにお金を払う程、みんな余裕はない。
それでもたくさん呼んでくれるから、gekidanUの今年の動員数は過去最高でした。
これは本当に役者さんのおかげです。

例えば…
チャレンジして失敗して正解とか崩壊こそが美学だみたいな
そんな主宰、脚本、演出の勝手な精神論や
団体としての失態を隠すような言葉で稽古を進めて
「つまらなかった」「よくわからなかった」「役者ってなんなん、ダサいね」「どうせ趣味でしょ。本気じゃないでしょ」
そう思わせるわけにはいかない。

過去僕と一緒に作品をつくって、そんな想いにさせてしまった人もきっといて
未だ僕は残念ながら「遠藤遊」だけで検索される脚本家じゃないし
gekidanUも団体名だけで人がわんさか集る団体ではないです。

だからこそ、コツコツ、2020年も
似合ったものを、確実なものを
5センチギリギリを狙って、
形は変えつつも、
身体に馴染んだものを
作っていけたらと思っています。
目標はひとまず、50キャパの野外劇場、30キャパのアトリエ5-25-6で
チケットの取れない劇団にする事です。
先は短い様で長いかな…がんばります。

ですから、2020年
これを見たまだ出会った事ない役者さん、役者をやってみたい中学生、高校生、
サークルでくすぶっている大学生、若い劇団がどんなもんかって思っているベテランの方も
是非、是非見に来て下さい、そしてオーディションに来てみて下さい。そして力を貸して下さい。
絶対に後悔はさせません。gekidanUの最初のクライアントは役者です。たくさんの人に出会いたいです。

レザージャケットが似合う大人がかっこいい!
そんな僕です、今風ではないかもしれませんが、
きっとたくさんの人に出会う事でしか、僕は成長出来ません。

軸として、
物語として、
言葉として、
作品の魅せ方として、
なにより先10年20年続く団体として
僕の憧れを叶えてくれる

ヒガシナオキ
よりぐちりょうた
電気マグロ
鈴木明日歌

彼ら仲間には心から感謝しています。
主宰として僕も彼らがやりたいことを叶えてあげたいと、そう思っています。

長々とすみません。
最後になりましたが
2019年gekidanUに関わっていただけた全ての人へ
本当にありがとうございました!!
役者さん目当てで来ていただいたお客様。オーディションに来てくれた役者の皆様。
関わっていただけた団体の皆様。南千住の皆様。エトセトラ。
この場を借りて、お礼を言わせて下さい。本当にありがとうございます。

東京オリンピックが始まり、そして終わり
日本、東京、南千住が変われば
僕らの環境も何か変わっていくかもしれません。

もしかしたら衰退していく環境だとしても
改めて演劇をやる意味、役者がいる意味、僕らがいる意味を
探っていけたらなと思っております。

全ての皆様、これから出会う誰かにも、
来年もどうぞよろしくお願いします!!

gekidanU遠藤遊

30日までに投稿する予定がいつのまにか大晦日を迎えていました。

gekidanUで楽曲制作や役者を務めます鈴木明日歌です。

劇団員とてはもうすぐ1年、この劇団に初めて関わって2年半が経ちます。

わたしの視点からgekidanUでの2019年の出来事を振り返ったり、これからのことを考えたりしてみたページです。

鈴木明日歌と別の場所で関わっている人も、gekidanUについて、アトリエ5-25-6について、ちょっとでも興味を持ってくれればうれしいです。

1月に鈴木が加入したのと同時期に、南千住の劇場が「アトリエ5-25-6」と名付けられました。

演劇以外の表現活動でも利用できる場所を目指して、3月には第1回家ライブ『誕生日と花曜日』を開催しました。

自分が普段参加している、ライブハウスやライブバーでの演奏とは異なり、場所も時間も自分で作ることから始めるのは苦難もありましたが、劇団スタッフやバンドメンバー、共演者のみなさんの協力あって

普段ライブハウスに行かない人も、またはライブハウスの雰囲気にすこし疲弊してしまった人も、おもしろがってくれるような空間が作れたと思います。

続けていくためにまだまだ課題はあるけれど、視野が狭くならないように楽しめる形を探していきたいです。

 

 

4月末から5月にかけて行われた家公演『金星』では、本作のための同タイトル楽曲を書き下ろしました。

2017年に出演したgekidanU作品『セミとカメレオン』でも、作中歌を弾き語りましたが、物語の登場人物に自分が変身しない状態で、脚本を読んで、劇中歌を制作したのは初めてのことでした。

歌詞よりも先に、音の質やタイミングを重視して取り組んだのも初めての挑戦でした。

役者さんの声や動きによって、自分の楽曲が物語の中で生きているのを観られたこと、更にそれを劇団単独公演では最高動員数となる数のお客さんに観てもらえたことで、かつてない喜びに出会えました。

 

 

2年ぶりに役者として参加した8月の弔expoでも、野外で猛暑の日や天候が不安定な日もあったのに、たくさんの方が観に来てくれました。

芝居の基礎的な部分、理論的な部分をすっとばして芝居に参加していることを改めて実感し、恥ずかしく感じたりしながらも、共演者のみなさんから毎日刺激を受けながら、この劇団で自分が果たせる役割を以前より掴めた気がしました。

2年前に感じた、特別な夏休みを以前より内側でその一部として動きながら感じられました。

観客のみなさんともその空気や時間が共有できていたようで、反響をもらえて嬉しかったです。

 

楽曲提供については、5月の家公演を経たことでプロデュース公演『あの星にとどかない』でも、自分のイメージする音を発見することや重ねていく楽しさ、脚本演出の方とイメージを共有する楽しさを体験できました。

このプロデュース公演では、初めて音響機器の仕込みと音響操作も担当しました。衣装、舞台美術、照明、脚本ともに自分が心惹かれる世界観が出来上がっていく中で、毎回ものすごい緊張感で正解を探し出し、叩き出していくこの作業が、実は今年最も「演劇」の生感を感じた時間だったかもしれません。

感謝です。

 

書いてみて気づきましたが、2019年はgekidanUにとっても、鈴木明日歌にとっても初めての試みをたくさんできた1年でした。

3月末に、不注意で手に怪我を負って周囲に迷惑をかけてしまいましたが、それがきっかけで、バンドでも一人での活動でも、ギターだけでなくシンセサイザーやループエフェクターを使った演奏・録音を始めました。

生まれた楽曲をgekidanUを通じて多くの人に聴いてもらい、反響をもらえたことで、これからの活動が拓けてきたと感じています。

下記URLから、今年劇団で手掛けた楽曲をはじめとした鈴木明日歌の楽曲、参加バンドの楽曲が聴けますので、まだ聴いたことのない人はぜひお聴きください。

https://soundcloud.com/user-374791197-137950772

 

https://linkco.re/Sa6XZHS9

 

来年は、自分の楽曲を聴いてもらえる場所を広げつつ、作品やパフォーマンスを発表する場所を探している人に、アトリエ5-25-6を知ってもらえるような活動を、もっと模索して試みたいです。

アトリエ利用に関する些細な質問も、鈴木の出演や制作の依頼もお受けしますので、個人のtwitterアカウントやメール、gekidanUのメール、どこからでもご連絡ください。

関わってくれた役者のみなさん、他団体のみなさん、観に来てくれたみなさん、南千住の街のみなさんのおかげで大きな1年にすることができました。

ほんとうにありがとうございます。

そして、舞台制作や音響のお手伝いをしてくれる方々も含め、優しく優秀なgekidanUメンバーにもこの場を借りて

いつもありがとうございます。

 

精進しますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

よいお年を。

 

  

 

大人の秘密基地(よりぐち)

舞台担当よりぐちです。

今年も各種公演・イベントに足をお運びいただきありがとうございました。

仕込みの時にぽろっと話したりもしていたのですが、

5-25-6でモノを作っている・仕込んでいるときは、小さい頃に秘密基地を作っていた感覚に近いなと思いながら作業をしています。

他の劇場で作るときとは違い、あの場所の特性を利用しながらその場で判断しながら作ることが非常に多いです。

例えば家公演の「金星」。

ハケ口を3階の窓に設定していたのですが、上から見るとこんな感じです。(あまりいい写真でなくて恐縮ですが)

窓上部の出っ張っている部分に平台を引っ掛けつつ単管で補強したうえで、

左側に見える室外機に足を引っ掛けて3階窓まで到達する、という仕組みになっていました。

これって、小学生くらいのころに、木がちょうど枝分かれしている部分を利用して棒をひっかけるだとか、

切り株的な物を椅子として利用し、拾ってきた机をおいたりするだとか、そういったことと何ら変わらないのかな、と思います。

裏では家の図面を書いたり3Dモデルを作ったりしていたのですが、

上のモデルを見ていただければ分かる通り「劇場」としてはクセが強すぎるのは当然のこと、「家」としてもかなり尖った空間です。

家公演に本格的に携わるのは去年夏・今年春・今年秋のまだ3回ではあるのですが、良くも悪くも5-25-6は、秘密基地のポテンシャルを持った空間だと強く感じる一年でした。

今年は、個人的には「家を使う」というところをとりあえずやってみて、この空間のポテンシャルを少し理解できたので、

来年はそれを生かしご、来場いただいた方や、演者さんをワクワクさせられるような空間づくりに邁進していきたいと思います。

いくつになっても「秘密基地」はときめきますよね。

来年もよろしくお願いいたします。