手記


今年の頭くらいからこのHPのアクセスを分析してたりするんですけど、

けっこうこの「手記」っていうページがすごい見られていて、

投稿数で言うとWebを管理してる僕が圧倒的に多いし、

外現場での露出もTwitterも基本僕がほぼほぼなので、

その分他のメンバー、特に主宰が謎のベールに包まれており、

どんなヤツなのか知りたいという人が多いらしく、

「遠藤遊」カテゴリーのアクセスが異常に多いという状況にあります。

 

そんな中遠藤の命により、

12月30日までにメンバー5名全員が手記を書く、ということになったので、

初投稿になる鈴木明日歌含め皆の2019年のご挨拶が上がるのでお楽しみに、なのですが、

コレを書き始めた29日18時45分現在まだ誰も上げていないので、僕が一番になると思います。

21時から来年の企画の顔合わせがあるので、その前に締めくくりを書ききるべく、

南千住のマックでキーボードを叩いています。

 

さてはて、2019年もgekidanUをありがとうございました。

今年は5月の家公演「金星」、夏の「弔EXPO’19、初の試みとなった「アトリエ5-25-6 Produce」と、

活動を行なってまいりました。

 

「金星」では単独公演の最多である265名、「弔EXPO’19」では過去最高となる549名、

という動員数の飛躍を記録し、至極嬉しい限りでありますし、

作品としてもしっかりと評価をいただくとともに色々な試みができ、メンバー一同充実した公演となりました。

ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。

多数出演いただいた客演の皆様にも感謝の嵐でございます。出会っていただきありがとうございます。

 

『金星』


『イントロダクション』


 

※Twitterある方はよかったら思い出してほしいからRTしてくれたら嬉しいです。

 

また、拠点とする家を「アトリエ5-25-6」と名付け、

より開かれ、モノがつくられていく場所を作るための活動も始まり、

スタッフ含めたハードが揃っている特色を生かしたProduce企画の発足など、

団体にとって本当に大きな、素晴らしい1年でした。

 

僕は前々から「劇団がやりたい」と言ってきたのですが、

5人体制でやってきた今年、「ああ劇団やったなぁ」という気持ちになりました。

本当にありがとうございました。

 



 

また、gekidanUは「やたらとインスタ映えする劇団」を自認しているので、

今年も色んないい光景を見ることができたのですが、

そのなかでも僕がダントツで好きなものが下の写真です。

観に来ていただいた方以外はなかなか状況が掴みづらいかもしれませんが、

僕らが目指したいものの一つを、確実に表現できてるなぁと思います。

 



 

2019年の個人の話をすると、

今年はgekidanUの他客演や舞台監督で、合わせて11本のお芝居に関わる形になりました。

11本は冷静に多すぎると思います。きっとご迷惑もおかけをいたしましたが、

関わっていただきました皆様に大いなる感謝でございます。

演出舞台監督役者…と色んなことをしましたが、

それぞれに向上の余地が有りまくるので、

全部中途半端になって誰からも必要とされなくなることを全力で恐れながら、

引き続き頑張っていきたいです。

 

トピックとしては大好きな劇団である「あひるなんちゃら」さんに念願の出演が叶ったこと、

その上そこで職場から花が届くという嬉しいやらなんやら…という

ことが起きたり(本当に理解と働く場とお賃金をありがとう職場)、

 


 

「しばいのまち」さんに取り上げていただいたり、いやはや、

ありがとうございますありがとうございます。

 

https://shibainomachi.com/2019/04/12/0395/

https://shibainomachi.com/2019/04/16/0396/

 

2020年はgekidanUで3本企画が決まってますが、

まず年明けすぐに今年も出させていただいた、

「野球ネタだけのコント芝居」に来年も出ます。

元プロ野球選手が普通にコントする、というなかなかな企画で、

僕は元巨人、送りバントの世界記録保持者川相昌弘さんとの二人きりのコントがあったりします。
毎度稽古の度に「川相昌弘とコントをする」という現実をモロに受けて訳が分からなくなってますが、

世界のバント王を滑らせないようにめちゃくちゃ頑張ろうと思います。

詳細はこちら

 

2020年でgekidanUに関わってから5年目になりますが、

あの頃から色んなことがあって、色んな経験をして、

総じて本当によい時間を過ごしているなぁと思います。

 

ある程度の成功体験もできましたが、

これからは一番むずかしい「続けること」という壁が待っているんだろうな、

と思います。

常々言ってますが、「続けること」が一番偉大です。

ただ怠惰に重ねるのではなく、消耗することもなく、

大切なものを共有しつつ、見たい光景を見続けられるように、

色んな人達と出会えるように、これからも頑張っていきたいです。

 

最後に、gekidanU及び僕を応援してくださったりや関心を寄せてくださる皆様、

本当に皆様のおかげで活動ができています。

これからも何卒、よろしくお願いいたします。

 

わー1時間かかった。さて、軽くご飯をたべて顔合わせです。

良いお年を!
お久しぶりです。gekidanU遠藤です。

少しづつ過ごしやすい気温になってきましたね。

 

だいぶ、お久しぶりの投稿になってしまいましたが、

改めて弔EXPO今年もありがとうございました!

gekidanUスタッフ陣がそれぞれ振り返りを手記として残してますので是非そちらもご覧ください。

 

弔EXPO。今年で何年目の…という話は毎回させていただきますが、

もう何年目になるのか、正直指を折って数えないと私も忘れています。

それくらい、血が通ったものになっているということです。

 

以前も南千住での野外劇についての投稿を何度か書かせていただいておりますが、

今年の夏はたくさんの方が南千住という街に足を運んでいただきましたので、

改めて、今の気持ちで、ここで話させてもらえたらと思います。(うちの優秀なスタッフが毎回専門的で面白い手記を書いているのに、主宰は毎回こんなんで申し訳ないです。笑)

 

gekidanU結成1年目。

今のヒガシ、よりぐち、電気マグロ、明日歌とはまだ出会っていない。

8年前僕らはやはり南千住にいました。

旗揚げ公演を小劇場で行った僕らには残ったお金はほとんどなく、

ほぼ全員が生まれて初めての演劇の打ち上げ。

浴びる程酒を飲んで、それで満足でした。

野外劇は正直いうと楽な手段でした。

 

なんせ家はあって、土地があって、

お金はかからない。

劇場にはルールがあって、大人に気を使い。

18の僕らには、それだけが納得いかなかったから…

だからルールのないここなら、と。

 

野外劇といっても、今の野外劇場にセットも組まず、転がしのハロゲンライトだけで明かりを作って、内容も今とは違うもっと、「今」を歪んで見ていた若者たちの話でした。

僕の最初の野外劇でした。旗揚げ公演はマジックです。

劇団員のほとんどが高校の同級生で結成。

しかも高校卒業後すぐだったから、珍しモノ見たさで、人は集りました。

はじめてやる野外劇、客が8人しか居ない回もありました。それでも、そこで見た景色は最高でした。僕は劇団の主宰で演出で脚本で。真ん中で挨拶して。全員が楽しむことよりも、

どうにか自分が目立とうと。そんな風に思っていました。

 

ここだって、俺の家なんだから、誰にも文句は言われないだろう。

若者だって、この街にはいないんだから、居てくれて賑やかでいいだろう。

演劇だって、かっこいいものなんだから、みんな認めてくれているだろう。

今だって、めちゃくちゃたのしいんだから、ずっとこのままでいられるだろう…

 

gekidanU結成8年目

僕はやっぱり、この街にいました。

家は街のなかにあって、やっぱりたくさん苦情を言われて、

若者は賞味期限が早くって、いつしか、誰にも相手にされなくなって

演劇は、決して、誰もが認めてくれるものじゃない。

今だっていつかは思い出になってしまうものでした。

僕は仲間も、信用も、やる気も、威厳も、若さも、全て失いかけました。

 

ずっとこのままでいい、と思ったあの時と同じ場所に立って

景色は変わっていました。たくさんのお客さん。

街の人の瞳の色も、色とりどりの照明も、立派な美術も、何もかもあの時とは変わりました。

僕は劇場の隅っこのバーに立ち、自分だけがあの時を知っていることに対し、

とても誇らしいことだと、そう思いました。

そして今この場に居る仲間達をなにより大切にしようと、そう思いました。

 

さて…11月にgekidanU初のプロデュース公演がございます。

誰でも作品を作る権利はある。

表現した対価をお金としてもらう価値がある。頭の中を物語る才能がある。

それを止める事なんて出来ないそんな世界がやっぱり感情と言葉を持った人間界だとそう思うのです。

 

僕は微力ながら、自分の持っているこの家と、

僕の何百倍も優秀なgekidanUスタッフ陣を武器に、プロデュース公演と題し、

「演劇やってみたいけど、なんかしらで、一歩踏み出せないぜ!」な演劇人を

あらゆる意味で満足させる。そんなことをしてみることにしました。

 

五本指で数えて、あーあれ楽しかったよね。

演劇楽しかったよね。

それでもいいと思います。

 

僕には人に誇れる才能なんてありません。

けども、人の話を聞く事は得意です。どうぞ、演劇を始めてみたい皆さん。

話を聞かせて下さい。

 

 

をします。

もうタイトルでしたい話終わるんですけどね。

ホント観に来てほしいんですよね。

ここまでで予約しようと思った方は読まなくても大丈夫なので、

下記より予約ください。

https://www.quartet-online.net/ticket/ahiru_shuka?m=0mgcfgf

 

まだよくわからないな、という方に向けて、

なぜ観に来てほしいかの話をこの後つらつらとするのですが、

ちょっと一旦落ち着こうかなと思うので、

昨日作った晩御飯の紹介をします。

 

(右上から

牛肉とトマトとナスのさっぱり炒め、

ホタテの豆乳味噌スープ

砂肝とパプリカとアボカドの和え物

です)

 

あー美味しそうだな、予約してみようかな、と思った方はこちらからお願いします。

https://www.quartet-online.net/ticket/ahiru_shuka?m=0mgcfgf

 

ということで本題ですが、

今回の「あひるなんちゃら」さんの出演に関しては、

「昔からすっごく好きだった劇団がオーディションをやるというので、えいやっ!と受けたら受かってしまってすごく嬉しいがんばるぞ」という気持ちです。

近年はgekidanUがそれなりに精力的だったり、お声がけいただける団体さんもできたり最近だと舞台監督のお誘いもちょこちょこいただいたりで、

オーディションを受けるってなかなかなかったのですが、

今回の公演でオーディションを開催するとのお知らせを見て、本当に瞬時に応募をいたしました。

 

あひるなんちゃらさんは「好きな劇団は?」と聞かれるとまず第一に答える劇団さんなのですが、何が面白いかというと、

「面白い人達がただ会話してるのをヘラヘラ観てるだけですごく面白い、その安心度と信頼感半端ない」

ということに尽きます。

と同時に、「これやってる役者さんメッチャクチャすげえな、いつかこういう人たちになりたいな」という気持ちで恐れおののいておりました。

そんな団体さんにですよ、出るんですよ。

こんなこと言うのあれですけど、ひっさびさに稽古でこんな緊張してます。

思ったとおり大変むずかしいです。

 

稽古からホント面白いんですけど、理屈っぽい僕は「なんでこれはこんなにおもしろいんだろう」みたいな感じでその理由を考えたりしてしまうのですが、これが大変勉強になってて最高だなと思っています。

 

その中で僕がどう面白くなるか毎回考えては滑りちらしているのですが、現状なんとなくどうすればよいかわかりだした感じがあります。

頑張って本番までに楽しい感じにして楽しくなればいいなと思っています。

なので是非是非という気持ちです。

 

そしてですね、

今回駅前劇場なんですよ。

よく「演劇やってる」と言うと「あーシモキタとかでやってるんだ」となり、「あーそうですはいそういう感じです」と答えてしまっていたのですが、始めて7年、実は一度たりともそんな演劇の街で舞台に出たことがなく、そもそもちゃんとした「劇場空間」でやったことが過去40本中半分~6割程度というアングラ野郎なのですが、晴れて初のシモキタです。
しかも由緒正しき駅前劇場ということで、続けてると良いこともあるもんだなと思います。

 

ということで、観てほしい理由でしたが、

いかがでしたでしょうか。観たくなりましたでしょうか。
下記、改めましてこちらからご予約お願いします。

https://www.quartet-online.net/ticket/ahiru_shuka?m=0mgcfgf

 

やっぱ興味わかないな、という方は、

僕ら拠点で音楽LiveやってたりProduce公演やってたりしますので、

よかったらこちらをみてください。

 

9/21 鈴木明日歌家Live企画 Vol.4 「誕生日と花曜日」

gekidanu.com/live

 

11/2〜4 アトリエ5−25−6Produce Vol.1

くちびるに硫酸#3「あの星にとどかない」

gekidanu.com/produce

 

ということで、よろしくお願いいたします!



アジャイル的舞台美術製作

舞台美術担当よりぐちです。
だいぶ間が空いてしまいましたが、『弔EXPO’19』ご来場いただきありがとうございました。

今見返したらプロフィールにほとんど何も書かれていなかったので、簡単ですが自己紹介させてください。
大学の演劇サークルで舞台美術担当してたのがきっかけで、現在まで色々な団体のお手伝いをさせていただいてます。
2年ちょい前くらいに、とある団体の美術補佐やっていたときに、舞台監督として入っていたヒガシから、今度公演やるから美術作ってくれない?と誘われ、
二つ返事でOKしたらそれがgekidanUの『弔EXPO’17』だった、という感じです。その後ちゃんと入団し、毎年ベランダから降りる(もしくは登る)非正規ルートを作っています。

それで本題なんですが、今回は、裏話的なところとして、↓ができた経緯や、gekidanUで美術を作る際の特殊な部分などをざっくばらんに書いていければなと思います。


■螺旋階段ができた経緯について
今回螺旋階段になったきっかけは完全にふとした思いつきでした。
「螺旋階段って作れるのかな・・・?」と思い、ふとググってみたら、案の定作っている人がおり、写真見たら作れそうだったので提案したという次第です。
当然、作れるから、という理由だけではなく、「螺旋階段」とした意図としては他にも以下のようなことを考えておりました。
1.使い方の選択肢が広がりそう
2.奥行きのある動きを出しやすそう
3.ランドスケープとしてインパクトが大きそう
これらがどれほど達成できたかは定量的な観測は難しいのですが、少なくとも2と3に関しては多少なりとも手応えを感じています。
2.については、螺旋の動きにより、ただの登り降りではない、魅せる登り降りになったシーンもちょくちょくあったかなと思います。
3.については、作っている間に近所のお爺さんに声をかけられたりといったこともあったので、まぁインパクトはあったのかなと・・・。
1.については、本来は、使い方を定めてから舞台装置は作るべきではあるのですが、これは、複数団体の参加・やや舞台先行で進める弔EXPOの作り方という2つの要素があったため、重要視していました。
勢いだけではなく、そんな意図もあったのです。

ちなみに、今回の螺旋階段は、真の螺旋階段と言えるか?というとそうではないと考えてます。
実は270°程度(3/4周)くらいまでしか階段を作っておらず、360°以上は螺旋を描いていません。
今後どこかでリベンジしたいものです。

■gekidanUでの舞台美術作りについて
上記のように、ふとした思いつきから動いていく節がgekidanUにはありますが、
他の団体で舞台美術を作らせていただくときとは全く違う考え方で舞台美術を作っています。

通常、舞台美術を作る場合は、以下のプロセスで作ることとなります。
1.演出家から実現したい舞台美術の要望を聞く
2.プラン図を描き、演出家とすり合わせを行う
3.各パーツの設計・平面図等資料作成を行う
4.材料調達を行う
5.パーツを製作する
6.仮組み
7.仕込み
上記の形となる一因としては、小劇場では、劇場を借りて公演を行うのが一般的だから、というところがあります。
仕込みの時間が限られているが故、また、仕込み後の大幅な手直しが(様々な条件で)許されない故にそのような形となっているのではないでしょうか。

ただ、gekidanUでは劇場が自前であるため、以下のようなプロセスで作ることも可能なんです。
1.演出家から実現したい舞台美術の要望を聞く
2.とりあえず作りながら演出家とすり合わせを行う
3.すり合わせ結果に応じて都度修正を入れる(作り直し含む)
4.2と3を繰り返して完成度を上げていく

このように見てみると、IT業界でのシステムの作り方と舞台美術の作り方は非常に似ていたりもします(普段はSEなのでそんな考えに至っています・・・)。
前者の「要望すり合わせ〜設計〜製作〜(テスト)〜完成」みたいなやり方は「ウォーターフォール型」と呼ばれるシステム開発のやり方と酷似していますし
後者の「作りながら修正を加え完成度を上げていく」みたいなやり方は「アジャイル型」と呼ばれるシステム開発のやり方と似ています。

どちらがよいか、というのは一概に言えないのですが、gekidanUのスタイルでは、「アジャイル的」な舞台美術製作の方がメリットが大きいです。
アジャイル的舞台美術製作のメリットとしては、
・「思ってたのと違う」を潰し、イメージにより近いものを作れる
・「とりあえずやってみる」ことが可能であるため、フットワーク軽く、ちょっとしたアイデアから広げていくことが可能
・演者さんに早い段階から舞台装置に慣れてもらえる
といったことがあるのかな、と思います。


あまりまとまりがないのですが、こんな感じのことを考えながら『弔EXPO’19』の舞台美術は作っていました。
今後もこういった方針でどんどん作れればと思っておりますので、また観に来ていただけますと幸いです。

街の明かりと前明かり

こんにちは。照明の電気マグロです。

野外劇イベント『弔EXPO’19』が終演しました。ご来場いただいた延べ549名の皆様、暑い中ありがとうございました。

私個人としては、昨年に引き続き2回目の弔EXPO、かつ劇団員としては初めての「弔」でありました。(昨年はまだ、gekidanUメンバーになっていなかったのです)

照明技術的には、おっかなびっくりだった昨年に比べて多少ステップアップした実感があります。

↓螺旋階段をLEDテープで光らせたりとか…、
螺旋階段が光っている画像

建物外壁のライトアップ的な要素にも多少気を配ったりとか。

実は、昨年の『弔EXPO’18』や、今年の春に行った屋内公演『金星』を通じて、家の色々な場所の電気配線を演劇公演で使いやすいように改造しておりまして、その積み重ねがあらわれてきたかな、という感じです。




さて、本題です。
記事タイトルにした『街の明かりと前明かり』。なんだか “エモい” 、感覚的なタイトルになっていますね……。

昨年の振り返りは、私の個人ブログ「照明機材の盛り合わせ」の方に書いたのですが、この記事を今見返すと、かなりハード的な考察に偏っているというか、「初めて野外劇照明をやった人の気付き」をまとめた文章になっています。

それに比べると、今年はもう少しこなれてきて、 “照明哲学” とでも言いましょうか、より感覚面での考察ができるようになってきたかなと思い、こんなテーマにしてみました。

まず、「前明かり」というのは舞台照明の専門用語で、客席側から演者に向かって投光される明かりを指します。
演者の顔を明るくすることが目的で、演劇には必須の明かりです。

dokokanohall_frontside
▲市民会館にありがちな「フロントサイド」という前明かりの一種。

一方でこの前明かりは、かなり「平坦な」明かりであると言えます。

前明かり単独で点灯した場合、人やモノの立体性を表現することができず、のっぺりした/平板なイメージになってしまいます。
cl_and_SS

また、そもそも前明かりは日常生活では使わない方向の明かりです。
(リビングやキッチンに、自分の顔を強く照らし出すスポットライトは設置されていません。)

よって、前明かりはそれ自体、かなり「非日常性」の強い明かりと言えます。

演劇照明の重要な役割の一つが「日常⇔非日常のコントロール」ですが、
仮に前明かりしかなかったとしたら、常に “非日常全振り” 状態になってしまい、コントロールができません。明かり作り (絵作り) の時にネタ切れになってしまい困ることでしょう。

この時点で、前明かりのみで演劇に求められる様々な照明効果を挙げることは非常に難しいと言ってよいでしょう。
やはりどうしても、演出照明には斜め/横/上からの明かりが必要になってくるのです。

ところが、今回の照明仕込み図を見てみるとどうでしょう。
(クリックで大きくなります)
tsuri_190813_blog

一般の方にも分かりやすいように灯体の記号だけにしてみました。

ほとんどが、客席から舞台方向を照らす明かりであることが分かると思います。
つまり前明かりです。

おい!さっきあんなに「前明かりだけでは成立しない」って言ってたのにどういうことだ!って話ですよね。

…これ、自分でも不思議でした。

単純にリソース(機材や仕込み労力)の問題もあって前明かり偏重になった面もあるのですが、
昨年から「なぜか絵作りの時にネタ切れになることが無い」のです。

そこで今年、なぜだろうと色々思考を巡らせてみた結果、2つの結論に行き当たりました。
  1. 東京の夜が明るいから
  2. 家と街並みが立体だから
それぞれ、ここまでに述べたこととどう関連するのか、以下に説明していきます。

まず 「1. 東京の夜が明るいから」。これは、前明かりはそれ自体非日常成分が強い、ということと関連します。
それがゆえに、「やはりどうしても、演出照明には斜め/横/上からの明かりが必要になってくるのです」と書きました。

ところが、この南千住野外劇場には、すでに「日常性」の担保となる上や斜めからの明かりが最初から存在しています。

そう、「東京の夜が明るいから」です。

午後8時頃の、舞台照明をすべて消灯した状態(いわゆる暗転状態)の写真を見てみましょう。
IMG_3028

いやめっちゃ明るいやん。

この状態でも客席撤収など簡単な作業は可能な明るさです。

写っていませんが、画像左からはアパートの廊下の明かりが、右手前には街灯が立っています。
それ以外にも、周辺の家々の明かりが合わさって、「何もしなくても “地明かり” は成立している」と言っても過言ではありません。

地明かりがある程度成立しているので、あとは役者の顔を取る前明かりをふんわり足してあげれば、演劇的には「日常」の明かりを作り出せます。

…実際にはそんなに理想的にはいかず、劇場の明かりに比べると当然「前明かり偏重感」は否めませんが、そもそも駐車場で演劇が開演するという事態が非日常であるため、そのあたりとのバランスの結果、不自然ではない程度に落ち着いたと思います。
gekidanu_finalstage

まとめると、「街の明かりに助けられて、前明かり偏重の仕込みでも大きな問題なく照明を作れた」と言えるでしょう。

ちなみに、この状態で “わざわざ” トップ (上から) の地明かりを追加すると、そこだけ別空間のような扱いにできます。
舞台下手のバーカウンターにトップ明かりを当てることで、「BAR/スナックのシーン」 (=劇中では屋内になるはず) を他のシーンと差別化することができました。

下の画像では、バーカウンター部分のトップ明かりとその効果がよく確認できると思います。
gekidanu_bar_counter

次に、「2. 家と街並みが立体だから」。
これは、「前明かり単独だと平板なイメージを与える」と書いたことと関係しています。

もう勘のいい方ならお分かりだと思いますが、「街並みが十分な立体性を持っているので、それに助けられて前明かりだけでも何とかなった」ということです。

特に、今回家の中の照明もコントロールできるようにしていたのですが、家の中の明かりを点けるとそれだけで奥行きと立体感がグッと上がるんですよね。これは「ずるい」。
gekidanu_blue

あと、前明かり単独の平板な明かりは、個人的に「虚無」とか「何もない」印象を与えると考えています。

そこで、今回のキャンディプロジェクトさんの演目では、バーカウンターのトップ明かりを点灯している時は「BAR」のシーン、
点灯していない (前明かりのみ) 状態は「BARで楽しい時間を過ごした翌朝」のシーン、というように使い分けて、その虚無感を利用していました。

このように、2年連続で前明かりに偏った照明仕込みではありましたが、南千住の街とのバランスも含めて、何とか演劇の明かりとして成立させた2週間でした。

ちなみに、上の写真には転がし (地面置き) の赤い投光器が写っていますが、これも前明かり偏重な仕込みにおいては重要な役割を果たしています。
この話は、また別の機会に。