こんばんは。
年末なのですが仕事がおさまった感じが全然しません。電気マグロです。
今年のgekidanUについて振り返るにあたり、電気マグロ的に最も分かりやすい例として、家劇場の照明設備改修状況を追っていきたいと思います。
この場所に「アトリエ5-25-6」と名付ける前か、名付けたばかりの頃です。
2018年の弔EXPOで屋内公演として上演した『火曜日の夜、水曜日の朝、サテライト』から、「芝熊」さんの『うかうかと終焉』という公演に使っていただいた頃まで。
上の写真は芝熊さんの公演で、壁の落書きは舞台美術の一部です(古い学生寮という設定のため)。
この時期の照明設備的にはほぼ元の家のままで、屋内については既設のダウンライトをそのまま使用。
さすがにダウンライトのみでは顔が暗いので、下の写真のような首振りの延長ソケット+ビーム電球を使って、辛うじて前明かりを作るような状況でした。
調光についても、LED灯体などはもちろんDMX調光卓で操作ですが、ダウンライトは家に元々ある設備のため、元々付いている壁の調光スイッチでの操作を想定していました。
結局、これではあまりに操作しづらいということで、急きょ仮組みの電気工事をして、DMX調光ユニット(DP-415)で調光できるようにすることとなりまして、「ダウンライトを舞台照明用の外部調光器で簡単に操作できないのか?」という点は、以後の課題となりました。
【4月下旬:『金星』】
次に、gekidanU 家公演企画vol.3『金星』 に向けて多少照明設備の増強を図りました。
まず、スイッチが変な位置にあって使いづらかった壁際の小型ダウンライト2発を、スポットベースに改造。
PAR16の灯体を常設としました。
次に、ダウンライトのうち1発を、首振りのできる「ユニバーサルダウンライト」に入れ替え。フロアの中心の1発のみ交換しました。
今までこのダウンライトの下がちょうど客席と演技エリアの境目に来てしまい、客席が半分明るくなってしまっていたのですが、首振りができることで演技エリアの方向に少し寄せた明かりを作ることができ、舞台照明としての精度が向上したと言えます。
そして、問題となったダウンライトの調光。
今後演劇公演の際は舞台照明用の調光ユニットで行うことが明らかなため、「元々の壁スイッチで操作する」のか、「外部調光卓/調光ユニットで操作する」のかを簡単に切替えできるような改修を施しました。
下の写真に3極プラグの見慣れないコンセントがありますが、これで壁スイッチ⇔外部調光器の強電的な切替えを行えるようにしたのです。
下のgifアニメでは、家のシャンデリアをPC卓で調光できていることが分かると思います。
しかし、色々改修を行った一方、前明かりを作るための照明バトンは未完成。
公演2週間前になって、カーテンレールのあった場所に仮設でバトンを設置しましたが、その程度が限界でした。
バトンもあり合わせのもので、長さも足りず不自由なバトンでした。
この公演の手記で前明かりの作り方に言及していますが、設備的には不完全だったのです。
【10月:プロデュース公演】
gekidanU初のプロデュース公演となった、くちびるに硫酸#3 『あの星にとどかない』。
この公演では、脚本・演出の性質上、「家だけど、ちゃんと舞台照明」を成立させることが必要でした。
よって、ここまでに挙げた設備改修の成果をフルに活かすこととなりました。
さらに、客席の向きの関係上、『金星』の時に仮設したバトンとは異なる場所に前明かりを設置する必要がありました。
ならばいっそ、というわけで、2ヶ所あったカーテンレールボックスに、ライティングレール(ダクトレール)を常設することとしました。
2ヶ所のうち1か所は、上の写真の位置で新規設置。こちらが今公演のシーリングバトンになりました。
もう1か所は、『金星』の時に仮設したバトンを撤去して敷設。今公演ではフロントサイド的な位置のバトンとして機能しました。
これで一応、照明設備的には幅広い需要を満たせるようになったと思います。
先週の忘年会では、30分程度の仕込み時間でパーティーらしい照明を作ることができ、この設備の汎用性がある程度出てきたかな、と思います。
(撮影:ヒガシナオキ)
【まだまだ続く設備改修】
ここまでで「色々やってるなあ」と思われたかもしれませんが、実はまだやることは残っています。
目に見える分かりやすい改修だけではなく、使いやすさのためのコンセント増設、エアコンとの電気系統分離、ダウンライト1発1発の個別調光、などなど細かいものを含めればまだまだやりたいことは多く残っています。
それから、今は2階のリビングが「家劇場」のメインですが、今後は1階や3階も公演場所として使うかもしれません。
そうなれば、階間をまたぐ制御信号の伝送、ライブカメラの整備など、また違った方向性のニーズが発生することもあるでしょう。
来年も謎の進化を遂げる家劇場にご期待(?)ください。